ばぁちゃんから聞いた昔の暮らし。其の一
山歩きと直接は関係ありませんが、
私の両親や親せき、
そして実家の近所のばぁちゃんたちから聞いた話を忘れないように記録していきたいと思います。
※あまり参考になる写真が手元になく…また手に入れば、追加していきます☆
1回目は、昔の食のことについて。
いやっこのテーマは1回では終わらないかもです。
十津川は、
険しい山々に囲まれた地形ということもあり、
お米はとても貴重だったそう。
一般的に、田んぼというと、
広い土地があって…というイメージがありますが、
十津川では、
その周辺の〝水の有無〟が重要視され、
谷に沿うように、小さな棚田がたくさん作られていました。
(場所によっては、大きな棚田…表現がおかしいかもしれませんが…もあります。)
多少家から離れていても、
水があるところには、田んぼを築き、
お米を作ったと。
実際に私も、
畳二畳分もないぐらいの大きさの田んぼを山の中に見たことがあります。
昔の人々のエネルギーの高さを改めて感じました。
国道からでも、
少し注意して覗いて見ると、
谷に沿うように、
丁寧な石積みが築かれているところが多くあります。
杉林になってしまっていますが、元々は田んぼだったんだろうと想像します。
私に話をしてくれたおばあちゃんは、
当時ほぼ1人で、田んぼの世話をしていたそうです。
家のすぐそばに田んぼはなかったので、
いくつか散らばってある田んぼに、
もちろん歩いて作業に出かける。
耕運機をバラして背負い、(←ホンマに男前。)
田んぼに着いてその耕運機を組み立て、
そして作業をしたと話してくれました。
すんごいパワー。。。
ちなみに、
金太郎みたいなばぁちゃんではなく、
優しくて可愛らしいおばあちゃんです。
この話の中で、
私が一番印象的だったのは、
それだけ家から離れたところに田畑を作っても、
当時は動物にやられるということは無かったそうです。
今でこそ対策をしないと、
動物(シカ、シシ、サル、ウサギなどなど…)に作物を食べられてしまいますが、
その当時はそんな対策など要らなかったと。
私が話を聞いているのは、
60代から70代のおばあちゃんたち。
働き盛りの頃の話をしてくれていると思うので、
今から約40年前ぐらいかなぁと。
1番おったまげたばあちゃんのコメント…
「シカやシシっちゅうのは、
ずっと山奥におるような動物で、
そんなに見たことなんかなかったもの。」
なんとぉ〜!!!
おばあちゃん達が住んでたとこも、
たいがい山奥やぁーんっ!
とツッコミたくなりながらも、
見たことがなかったという話には驚きました。
今シカやイノシシ、サルは、
庭のシイタケを取っていってしまうほど、
人との距離が近い動物です。
十津川に住んでいて、
これらの動物を見たことがないっていうのは、
今はほぼないことだと思います。
また当時、
シカやシシが食卓に並ぶということもあまりなかったそうです。
(これは地域にもよるかも知れませんが…。)
牛は各家々に、
田畑を耕すために飼われていたそうですが、
それらを食べるということも滅多になかったということ。
では、肉は全く食べなかったのか?
当時は、
卵を産まなくなったニワトリをつぶして食べたり、
カジバト?ヤマバト?(←人によって呼び方が異なる。何故だ。笑)をクグツ(方言かも。)使って獲ったりしていたそう。
私の父も、
通学路が山道だったのですが、
登校途中にクグツをかけて、
下校時にその鳥を獲って帰る…というのが日課だったと話していました。
もちろん当時、
シカやシシは、
おばあちゃんが言う〝山奥〟に行けばたくさんいたはずですが、
それを獲りにいくということはなく。。。
肉を食べるということ自体が、
今と比べて少なかったんだなと思います。
必要がなかったのかな…。
その代わりに食べていたものがあるとか。
ここはまた宿題に。
この数十年で、
どれだけの変化が、
山や人、そして食にあったのかが分かる話でした。
おばあちゃんが話の終わりに言った、
「人間が皆んな変えてしもぉたんや。」
っていう一言が、ずーんと心に残りました。
昔の生活に戻ることは難しいかもしれないけれど、
人と自然が共生していた頃の在り方や知恵を、
いま一度見直していきたいと改めて思いました。
人間には、
よきも悪しきも、
変える力があるのなら、
今のこの状況も良き方向に変えていきたい…!